実際に支援を行った事例の概要を説明します。課題と解決策を示します。当社は顧客と守秘義務契約を締結しています。その契約の範囲での情報公開です。
事例1 農業法人のIT企画立案支援
IT基本計画が存在してませんでした。生産販売一体のビジネスモデルであり多種多様の顧客に作物を出荷していました。
資材調達、栽培管理 出荷管理 パート管理で複数の表を入力してをデータ統合がされていません。都度必要な資料を作成しています。表計算マクロも初歩的であり自動化されていません。
農場管理のため資材調達、栽培管理、出荷管理、パート管理の主要要件を整理し、要件に合致したクラウドサービスを選定しました。多くのサービスは個人農家向けの限定された機能であり、農業法人向けではなく、カスタマイズ対応不可です。厳しい状況から細かく調査し、対応可能なサービスを見つけ出し、カスタマイズ項目の検討を行いました。
事例2 GAP認証取得支援
農業法人は取引先要請によりGAP認証取得準備をしていました。認証準備をチームで行っていましたが、作業が進んでいませんでした。
認証取得済み農場にメンバーを派遣して学習していましたが、作物や農法が異なるため自農場固有課題対応が遅れていました。管理点の求めるところと認証審査のポイントを理解していないため、学習した事例範囲外の自農場対策が不十分でした。
短期間で準備するめ、管理点の優先順をつけ関連性でグループし、メンバー作業の関連性を解き独立で書類整備可能としました。重要管理点を重点対応し先に対応し、低い優先順位管理点は審査直前としました。審査で不適格でも改善対策対応に短期間で対応可能な項目に時間を取られないようにしました。
日常作業と並行してリスク評価や現場整備や書類準備はメンバー負荷が大きくなります。並行してGAP対応作業記録のIT化に取り組むことは必須と思います。新たな作業標準を設計しました。
現行の作業を表計算SWに入力するより新たな入力項目が増えました。管理負担増加となるだけですのて適切なITサービス導入が必要でした。管理帳票出力だけではなく「栽培の見える化」「情報の共有」が可能となります。作業員や入力担当者のIT利用力に適合したシステム導入検討が必要です。
中小企業が新規参入したバイオマス事業の成長課題の事例です。
事例1
化学工業 バイオマス事業戦略の見直し
国の補助金を申請し20時間限定で全額補助金適用で顧客負担はゼロでした(H27年度はこの制度有りません)。課題を確認し解決策を提示しました。
廃棄物からバイオマス製品を製造し販売する事業です。
関連法規の改正により品質規格が強化され販売条件が厳しくなりました。自社使用に8割使用し外販は2割程度です。専任の営業担当はいません。
事業としての収益を確保するためには外販比率を高めることが必要です。3年後5割とする。外販の市場選択をすることが必要です。実績のある市場を軸とします。販売には営業担当が必要です。営業担当育成のため外部委託とします。
顧客のHPに廃棄物を回収してバイオマス製品が製造でき、環境に優しいとの説明があります。製品の品質や供給体制に関しては情報は有りません。購入対象ととなる顧客が必要とする情報開示が有りません。
販売活動につなげるためにはインパクトの強いイベントでの商品の認知が必要です。自治体との協力関係を活用して自治体施設での利用を目標とします。イベントから情報確認へと動線をつなげます。
バイオマス製品事業のみで中小企業が事業採算を確保するのは大変です。原料の確保での量と品質の問題、製造工程での品質確保と製造コスト削減の問題、販売での販路開拓や営業担当の育成の問題があります。
国の補助金を活用し製造の問題を解決し、供給量を増大し販売拡大を目指します。
2つの事例を取り上げます。
共通しているのは過去の成功したビジネスモデルが現状では有効ではないことに気づきながら新たなビジネスモデルを構築できない状況です。
事例1
印刷業 全社中期経営計画立案 次世代リーダー向け戦略思考教育 工程の見える化
顧客ニーズの変化により売上減少と低価格競合で従来のビジネスモデルが通用しなくなった。新規ビジネスは従来ビジネスより多くの知識が必要となり顧客の担当部門が異なるため苦戦。
新規ビジネス分野への設備投資と人材再配置により資源配分を意図的に変える。経営者の意志を示す。計画立案参加への若手登用を行う。戦略思考が不足しているため研修を行う。
案件内容確定後の見積対応ではなく、案件発生時からの参加し提案書を出す営業スタイルへの変化が必要なことが理解しているが行動とならない。
顧客課題の捉え方、提案書作成、プレゼンテーション、工場見学、サンプル作成、クロージングまでの新たな営業スタイルに必要な基礎スキルの研修を行う。
新規ビジネスでは個人情報の受渡しがあり顧客接点である営業に事務負担が発生する。情報の確認や納期確認等の通知もある。
工程見える化ソフトの導入を行う。顧客毎に標準工程を定義して登録する。案件の工程進捗の都度完了確認を行うことにより自動メールで通知が可能となる。営業から電話での処理者への確認がなくなり、営業は顧客への対応のみとなる。
事例2
ソフトウエア業 全社中期経営計画立案支援 事業戦略立案
機械部品業界の設計分野でのソフトの製造と販売が主たる事業です。機械の国内市場縮小に伴い成長の鈍化に伴い多角化した新規事業戦略の見直しです。
設計分野での知識を活用し機械部品以外でのソフト製品の展開が回っていません。大手顧客の個別ニーズ対応ではそれなりに事業は成長していますが、中小対象のノンカスタマイズ製品では事業計画が未達でした。
支援解決策1 事業計画未達の根本原因の把握
開発と営業とのヒアリングから様々な問題点が出てきました。整理すると製品はノンカスタマイズではなく、営業は顧客のニーズを把握できていませんでした。低価格路線を取れないので顧客ターゲットを見直し小規模なカスタマイズ希望の顧客を選定しました。
事業担当は事業不振の原因の認識はできたが黒字化に向けて事業再建の事業計画がイメージできません。深く考えることや、思いを計画に表す能力が欠けていました。
顧客の事業計画は過去の実績の傾向からの積み上げ予測が主流でした。市場を細分化し自社のポジションを明確して事業開拓を行う方法を新たに取り入れました。
顧客の中期経営計画は外部環境や内部環境分析からSWOT分析をして戦略としています。これを示し財務目標を設定しています。計数設定には経営者の期待が反映されています。その後事業部ではこれを受け事業計画を策定しています。量としての財務目標は設定しても質として経営内容の変更を加味していません。
顧客の計画立案工程を変更し全社計画立案工程に事業部の参加を組み入れ情報共有を深めました。計画書の書式を変更し質の変化をどのように行うかの表記を加えました。